六年目公開にあたって大幅に加筆した話です。
・段落1/薬を背負って小間物屋へ
耳から覚えきれず書状を盗み見て確認する暁。暁は視覚優位。
ただし、書状を見て読めることの価値にはまだ気付いていない。
値段の記憶も暗算も易々できるけれど、客応対はうまくいかないのが暁です。
・段落2/口入れ屋
人の増えた菱屋。
数々の手習いをこなしてきた暁、でもそれが特別なこととは気付かず、最終的に調理補助に落ち着きました。
・段落3/祭りへ
日常の話があまり耳に入らない暁、色恋話に飢えている紅花。
・段落4/祭り
祭りの風物詩は列挙。暁の目で詳しく描写するのは、空とか提灯とか木立とか、喧噪とは別のもの。
紅花の背姿に見る、祭りを楽しむ当たり前の少女。
暁はそちらへは行けない。そしてそれは針葉も同じ。
意地っ張りの暁を動かすには針葉のやり方が一番なんだけど、腕を強く引くのは次兄を思い出させる行為。
祭りのフレーズについては改めて。
六年目公開にあたって大幅に加筆した話です。
・段落1,2/花見
まるっと追加した話です。
織楽を囲んで夜更かしする年上組三人。割と仲良し。
花見のシーン、暁の空っぽの猪口に落ちる花びら。このシーンには数年後に言及します。
針葉の色恋トラブル、鮮やかに収めてしまう織楽。帰り道では会話に混ざれない暁。
・段落3,4/湊屋へ
改めてほたる炎上の際の不審点が浮かび上がる。
同時に不審な気配再び。
元々の2-01の大半は一年目の暮れの回想だったため、六年目公開にあたって整理し、大幅に加筆したものです。
・段落1/呪い
大掃除や家の補修以外はまるっと加筆。
暁御大による正月飾りはここで初登場。
紅砂は人格面では家面々の中で一番、ただし妹にまつわる事項を除く。
・段落2/季春座
織楽が人に抱き付くのは、犬が人にじゃれつくのと同じくらいの軽さです。
最後、暁が気付いた物音の主は鼠。「飛ばないほうか」は1-10「異郷」の飛ぶほう(カワホリ=蝙蝠)を受けたもの。
・段落3/黄月と浬
ほぼ加筆。
黄月が会いに行く「間地の先生」、「子守り」、「馴染みの産婆」については後々出てきます。
・段落4/雨の日
前半はほぼ原形を留めていますが、浬、針葉と会うシーンはまるっと追加。
壬では障子の内側から四季を見ていた暁。
針葉は逢引後。色恋ごとを隠しはしないけれど、家の中には持ち込まないようにしています。紅花がうるさいので。
◆主要人物の年齢
暁 14歳
針葉 17歳
浬 15歳
紅花 13歳
紅砂 15歳
黄月 17歳
織楽 16歳
二十四節気の立春から一年が始まる世界のため、二月〜翌年一月で一年換算です。
◆二月(一話、二話)
・中旬、壬の大火
一日目……三津逃亡、暁避難、○○と出会う
七日目……暁と○○が上松領へ
八日目……針葉と浬が国守邸へ、その後上松邸へ
九日目……暁と○○が上松邸到着、○○死亡
十日目……三人が上松邸近くで出会う、坡城へ
十二日目……坡城到着
・下旬、暁が体調崩す、暁と紅花の口論
◆三月(三話)
・上旬、暁が小間物屋で働き始める
・下旬、花見(六話でひよが言及、針葉が客を連れて行ってツケをただにしてもらう)
◆四月(四話)
・上旬、針葉が刀の手入れ
◆五月(四話)
・中旬、暁が紅砂と境の地で香ほづ木購入
◆六月(五話)
・中旬、紅花と暁の店番
・下旬、夏至、雨呼びと祭り
◆七月(六話〜七話)
・中旬、芝居小屋で怪談(夏芝居)
・下旬、針葉が文身追加、アズメ売り
◆八月(七話〜八話)
・上旬、暁が刀奪還の依頼、織楽が壬の国史を取り寄せる
・中旬、織楽が土井と会う
◆九月(八話)
・上旬、土井が飛鳥へ遣い、惟道死去、針葉が刀を菱屋へ
・中旬、月見(十五夜)、烏が飛鳥へ、暁が香ほづ木売りに飛鳥行きの交渉
・下旬、雨呼び、土井の遣いが殺される
◆十月(八話〜九話)
・上旬、顔見世の役振り、土井が季春座へ、秋公演前日に織楽が家へ
・中旬、針葉が菱屋へ、月見(十三夜)
◆十一月(九話〜十話)
・上旬、飛鳥へ出立
・下旬、飛鳥の松川に到着、針葉と浬が巴屋へ(矢野が牟婁屋を張らせる)
◆十二月(十話〜十一話)
・上旬、暁が「ほたる」探し
・中旬、香ほづ木売りが巴屋へ、暁を探す者
・下旬、香ほづ木売りと再会、針葉が焦げた書き付け入手
◆一月(十一話〜十二話)
・上旬、小野家と上松家が穂垂るで会合、穂垂る焼失
・中旬、坡城へ出立
・下旬、坡城に到着
あまり話数を増やしすぎないという自主規制の末、元々の一年目の年末は二年目で回想という形を取っていました。この話は、元々の一年目最終話〜2-01の間の話を丸々追加し、2-01に回していた帰国エピソードに大幅に加筆したものです。
元々「夜降ち」の名が付いていたのは1-10〜11ですが、ワープロ時代から、一年目最終話のタイトルは「冬の夜降ち」だったので、迷わずこちらに持ってきました。
・段落1/その後の話
つくづくこの段落が無かった元々の流れは急だったなぁと。
・段落2〜3/女の子です
ようやく暁が手拭いを外します。
暁の性別判明エピソードは元々は帰国後の家シーンで入れていました。
暁は港という地域も筆下ろしの意味も知らないので、どうしてこのタイミングで浬にばらされたのかも分かっていません。
・段落4〜5/坡城へ
舟の上のシーンは元々2-01に入れていましたが、暁と話すのは針葉ではなく浬でした。
紅花に女だと知られたとき=1-02「玉串」の最後のシーン。
針葉は押さえ付けても歯向かってくるような元気のいい相手が好き。浬にきつく当たるのは、浬が何でも受け流してしまって手応えが無いためです。