ル ケ リ 【 rookery 】 了

 2004年4月に書き始め、少しずつ書き足し、6月に完成しました。
 とある曲を聞き流しているうち、聴き間違いだらけだった歌詞が鮮明になると共に、愛す人の死体を探す女性が浮かびました。
「私達」とは誰か、というのが一番の謎だったはずなのですが、タイトルからしてネタバレです。ルケリはrookery、rook(ミヤマガラスという悪声で鳴くカラス)の複数形です。
 欲しかったのは墓場にいるカラスだったので様々なカラスサイトや鳥類図鑑を見たのですが、「死体を餌とするカラス」「墓場に住むカラス」などというカテゴリ分けがされているわけでもなく、大きいカラスがいいか、凶暴なカラスがいいかなどと浮気しつつも
『墓場のロングにカラスのシルエット、教会の影が鋭く天を刺し、墓場と町とを区切る柵が寒々しい風景を細切れにしている。そこにギャアギャアというカラスの鳴き声』
 という勝手なイメージと英国に群居しているということ、ルケリという音に惹かれ、ミヤマガラスを選びました。


 フォント色を変えることで鍵括弧「」を表すという反則をやってしまいました。四文字下げるだけでは会話だと分かりにくいかと思ったので……。小説としてあるまじき。すみません。
 ルケリの題が指すとおり、複数で一つの存在として扱っています。一つの会話文(句点まで)の中にも数羽の囁きが混じっています。
 私としては珍しく、地の文の割合がかなり多いです。一見するとアザリヤアザヤギ・ユメクるヒザキより暗いのですが、こちらの方が明るい心境で楽しく書けました。
 黒い背景にこの文字色というのはどうなのでしょう。読みにくい方がいらっしゃいましたら仰って下さい。


 読んで下さって本当に有難うございました。
オヤス ミ 。