・サブタイトル
玉串=榊=坡城。
元タイトル「紅花」。
・段落1/玄関
ずっと紅花のペース。
書き直すまでは誰もかれもが暁に同情的・好意的だったので、様々なシーンで転換。
・段落2/部屋・手当
浬も入ってきたばかりで肩身が狭いころは苦労したんだなー(相手が針葉に限らず)とか思ってもらえれば。そんなわけで、いざ家に来てみれば浬はちょっと暁寄り。
無駄なもののない黄月の部屋。
自分から命を断とうとする身勝手さと、それで家の者が傷ついたことで、暁に睨みをきかせる黄月。対する暁も、彼にしか分からない嫌味(北の訛り)で応戦。
暁はとても耳がいい。
・段落3/紅兄妹
暁の来ていた男物の服は骸から剥いだもの。彼女にはない血が染みている。
改めて暁について訊かれて、同情的な立ち位置から中立な立場に戻る浬。自分が言ったとおり、「残り家狩りのうろつく中で十日間生き延びた暁」に不審をいだく。
紅花の苛立ち。
暁は姿勢がいい。対比で出てくる黄月は長身あいまって猫背。
・段落4/ちゃたろ
元々猫は違う名前でした。
戸口に近い右手の部屋は織楽のもの。蒐集家、季春座で忙しい。
猫に話しかけているのを紅花に聞かれる、というのは確か初期からあった流れ。
「大火で」そう繰り返す暁は、むしろ自分に言い聞かせている。
受け取った着物を自分の前に置くのは、紅花と距離を取るため。
じっくり悩み考えた末に話す暁と、思ったそばから口に出す紅花。
暁と紅花の認識の違い。
紅花は両親や養父母が殺されたことや、長を失ったことから、死を身近なものとして感じている。しかしそれはあくまでも抽象的なもの。自分から少し離れたところに、ざっくりと突然命の終焉が切り込みを入れているイメージ。
だから彼女にとっての死はあくまでも命の終わり、性別を偽ったところで逃れられないもの。
暁は紅花と違い、自分に直接ぶつけられた憎しみを恐れている。それは実際の命の終わりというよりも、その前に佇む絶望や、辱め、尊厳の死。紅花のものより鈍い痛みだが、肌で生々しく感じてきたもの。
二人とも立ち位置が違うだけで、言っていることは真っ当なんです。